外国人が生活保護を日本人よりも貰っていることが一時期話題となっていました。現在受給者の数は月平均で4万世帯にも昇り、10年前と比べ2倍近くとなっています。今回はそんな外国人の生活保護について紹介したいと思います。
外国人が生活保護を受給できる条件
生活保護法では、あくまで日本人の貧困生活者を対象に行われている制度で外国人の方は対象とされていません。しかし場合によっては生活保護を外国人でも受給する事ができ、その条件として「永住権を所有している」・「日本人と結婚していて配偶者が居る人」・「特別永住者」は生活保護を受給する事が可能となっています。
つまり条件を満たすことによって外国人でも生活保護は受けられるのです。
外国人受給者に対する差別やヘイト
しかし一方で外国人の生活保護受給者にたいして差別的な発言をしている人も少なくありません。
彼らの主張としては「外国人受給者が日本の財政を圧迫する」ということ。しかしこれは半分嘘と言えます。
確かに冒頭に書いたように外国人受給者は増えています。ですが数字の面でみると全体で163万8944世帯。そのうち外国人受給者の世帯数は平成24年度のデータでは4万8510世帯で全体のうち外国人受給者の割合は2.9%にしかならないです。0%でない以上まったく圧迫してないとは言えませんが受給者の殆どは当然ながら日本人です。
世界的にみても、外国人の生活保護を認めている国は多いです。単純な話「困った人は助けよう!」というのが国際的な共通認識としてあるようです。それに対して日本は本当に貧困で、働きたくても働けない外国人に対し、「外国人生活保護は廃止しろ!」と叫ぶ人がいるというのは個人的に悲しくなります。
人口減少がすすむ日本。1人でも多くの外国人労働者を招きたいところなのに、こんな排他的な考えでいいのか非常に疑問です。
波紋を呼んだ最高裁判所での判決
外国籍の中国人女性が、生活保護の申請を却下されたことを不服として、大分市に処分の取り消しを訴えた。福岡高等裁判所の判決ではこれを認めていたが、2014年7月最高裁はこれを退け、改めて外国人は生活保護受給の対象外であると、女性側に敗訴を言い渡しました。
最高裁が「外国人は生活保護法の対象外」と判断したのは始めての事だったので当時は非常に話題になりました。
特定の条件を満たせば外国人でも「生活保護法に準じた保護が受けられるはずでは?」そんな疑問が聞こえてきそうです。
法廷では「外国人は行政措置による事実上の保護対象にとどまり、同法に基づく受給権はない」と判断。現状ではあくまで人道的な行政措置であって、権利を与えるものではないということ。外国人がいくら権利を主張しても、行政の判断で保護するかどうかが決まるということです。
外国人受給者の今後は
2014年の判決により、単純に外国人受給者の肩身が狭くなってしまったことは言うまでもありません。生活保護ではなく行政措置による事実上の保護ですが、保護は保護。日本国民の不満は少なくないです。今後生活保護法が見直される可能性もあると予測できます。
どちらにせよ、外国人は対象外としながら結局、条件を満たせば人道的に保護はするという今の生活保護法の現状はすこし曖昧ではっきりしない印象は否めません。外国人受給者の今後がどうなっていくのかはわかりませんが、安心して日本で過ごせる環境になればと思います。
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